第5回離婚調停(1) 元夫が不倫を認めていたと聞かされる

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部下を叱る男性の上司

調停前日、不倫相手に10万円の振り込みを見つけたことは、弁護士にメールで伝えました。でも弁護士からは『承知致しました。』としか返信が来なかったので、明日調停控室で会った時に『こういうことって普通にありますよ』なんて鼻で笑われて、ただの糠喜びになったらどうしようと思ってました。



ところが翌日控室で弁護士が来てからすぐ聞いてみると、ニヤリと笑って『あれは完全に油断!』と言いながら、自分のかばんから、元夫から出された財産開示の書類一式を取り出しました。例の通帳記載の不倫相手の名前〇〇〇〇ミのところには、しっかりマーカーで線が引かれていました。



やっぱり弁護士も認める有力な証拠になったんだ!!私は嬉しくて心の中でガッツポーズしてました!!
その後、開始時間まで弁護士と元夫が出した書面を一つずつ見ながら、通帳の残高が分かっていないもの、株でまだ取引明細を出されていないものがどれかをチェックして、キャッシュカードで引き出された使途不明金があることも伝えておきました。



調停室に呼ばれて入ると、弁護士が早速、不倫相手への10万円送金の記載部分を調停委員に示します。
『調停委員さん、乙〇〇号で出されたこの通帳なんですが、(弁護士が自分の書面のマーカー部分を見せて)ここにはっきり〇〇〇〇ミに10万円振り込んだ記載があります。この名前の女性は元夫さんの不倫相手です。これは今でも不倫相手と繋がっている証拠ですよ』



最初にちゃんと言ってくれました!そう言われて調停委員は大慌てて自分の持っている書面で確かめます。開示書類にはそれぞれ申立人は甲〇号、被申立人は乙〇号というように証拠符号・番号を付けられています。
それを確かめると、調停委員『、、、、、、、』驚いた顔をして何も言いません。



それはそうでしょう、自ら不利な証拠出しちゃう人なんていないでしょうから、何て言ったらいいのか分からなくて言葉を失っちゃいますよね。
それをよそ眼にすかさず弁護士がこう続けます。



『それと提出された以外にも、まだ出していない通帳残高もありますし、株取引きの書面もありませんね。それに元夫さんが別居前に数回にわたって引き出していた300万ほどありますが、それはどうされたのでしょう?』と先ほど私と打ち合わせた通りに指摘しました。ずっと怖い顔をして無言で、何やら書面に記録していた調停委員でしたが、『そうですか、分かりました、元夫さんに聞いてみましょう』とすぐに言ってくれました。



こんなにスムーズに事が運んだのは今回が初めてです。
弁護士も人が変わったか?のようにやる気になってくれるし、調停委員も元夫の正体を知って、あまり味方に付くと良くないと思ったのか?こちらの要求に素直に応じてくれて、今までの対応とは大違いです。元夫の失態はこんなふうに効いてくるものなんですね。



私はこの好機は絶対逃したくないと、更に付け加えます。
『調停委員さん、今まで家計は元夫が管理していたので、私は元夫がいくら貯蓄しているのか全く分かりません。ですので、私の離婚条件はしっかりと財産開示してもらうことと、後は不倫したことを認めて謝罪してもらうことなのですが、、、』と言ったら、これはもっとびっくりする答えが返ってきました。



調停委員『元夫さんは不倫したことをちゃんと認めていますよ!!だからローンを完済して、yumikoさんに家を渡すと言ったんじゃありませんか??』
私は驚きのあまり、思わず大声で『え?!元夫は本当に不倫を認めたんですか?!』と聞き返しました。
すると『本当ですよ、その謝罪の気持ちの意味で、自分が責任を持って完済すると言ったんです、そうじゃなきゃそんなことは言いませんよ』私はそんな大事なことを急に聞かされて、とても信じられないと、横にいる弁護士にも顔を向けましたが、弁護士も知っていた様子で大きく頷きました。



あれほど不倫はしていないと言っていた元夫が調停で認めていたなんて、一体どうしちゃったの??と暫く頭がフリーズして動きません。
それまで調停委員からも弁護士からも、元夫が不倫を認めた話は一切聞いていません。ですから、すぐには信じられず、これは夢なのかと自分の頬を抓って確かめたくなりました。

それが本当にだったら、不倫を認めたのは私が欠席した前回の調停の時しかありません。弁護士も知っていたのは、前回調停委員からその話を聞いていたのだと思います



だったらどうして弁護士が一番肝心なことを私に言わないで黙っていたの??元夫が不倫を認めなかったら離婚出来ないとあれほど言っていたのになぜ??でもこの弁護士のことだから、きっと何か魂胆があるなと察したのですが、それはさておき、このことは私にとって非常に喜ばしいことです。これで私が出した離婚条件3つのうち、住宅ローン完済、不倫を認める、の2つが揃ったことになります。


調停に後ろ向きだった私にとって、調停離婚成立へ向けての大きな前進でした。



幾度となく、もう調停に行くのはやめようと思っていた私の中で初めて、このまま頑張ればこの調停で上手く離婚出来るかもしれないと思った瞬間でした。ずっと独りぼっちだった暗闇に少しだけ希望の光が差し込んだ、そんな気がしました。



でもいくら謝罪の意味があろうとも、家のローン完済については、もう何度も言っていますが、最初から元夫が払うと決まっていたことです。不倫を認めたなら、きちんと謝罪してもらう必要があります。そうでなければ、ローンを完済しようとも離婚することは絶対出来ません。後はどれぐらい隠している財産があるのか、それをこの調停でしっかり開示してもらう、それで私は心置きなく離婚出来ます。



一度控室に戻り、元夫の回答を待ちます。
弁護士に不倫を認めたら慰謝料はいくらもらえるのか聞いたら、普通は請求額で300万円、実際に貰えるのは200万円だと答えました。認めても結局それだけしかもらえないのね、、、そうしたら住宅ローン残債800万を完済してもらった方が絶対特になる、だからこの弁護士は慰謝料請求はしない方が良いと思って、わざと私に黙っていたのか?うんそうだ、きっとそうに違いないと直感的に思いました。



そこで私の友人の話を弁護士にしてみました。
友人も夫の不倫に悩んでいて、私の勧めで2度この弁護士に相談に行ったことがあります。
最近不倫相手と旅行に行くということを知ったというので、私が弁護士に探偵を紹介してもらって、不倫の確実な証拠を取ってもらうようアドバイスしました。彼女はその通りに弁護士に紹介された探偵に依頼して、ばっちり不倫の証拠を撮らせて、不倫相手に慰謝料請求をするまで旦那に見つからないように、私に証拠の写真やビデオを全て預けていました。



その話を弁護士にしましたが、私と同じ職種の個人事業主ですので、相談に行った時のことを少しでも覚えていると思ったのですが、名前を言ってもその友人のことは一向に覚えていないとのこと、、、そして、いずれ不倫相手に慰謝料請求をしたいから、近いうちに先生に相談に行きたいと言っていたと話したら、弁護士はこう答えました。



『慰謝料請求は面倒くさいからやらないです』だそうです。
手間が掛かる割には、成功報酬があまりよくないからだそうですよ。
実際に不倫相手に慰謝料請求をする弁護士さんは依頼者に誠実な先生なんですね。
私は『彼女に相談に行かないようにと伝えておきますね』と言っておきました。



この言葉ですべてが理解出来ました。
だから、以前私が元夫の不倫相手の住所がこれで合っているか確かめてくれないか?と尋ねた時も出来ないと答えたり、今回元夫が不倫を認めたことも、元夫や不倫相手に慰謝料請求したくなくて言わなかったんですね。
この弁護士は、依頼者のことより自分の都合だけで判断するようです。私がどういう意図でこの話をしたのか、全く理解出来ていなかったようですが、本心を話して下さったおかげで、疑問が解けてすっきりしました。友人も無駄に相談に行かなくて済みました。



長くなりましたので、元夫の財産開示については次回お話します。

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